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設計事例 詳細

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BAR POKKE

BAR - 2023 - Roppongi, Minato Ward, Tokyo

店名の「ポッケ」とは、北海道の先住民族であるアイヌの言葉で「温かい」という意味。
雪山にあるロッジがスキー客を温かくもてなしてくれるように
眩しい六本木の街の中にある、ほっこりと寛げるバーをコンセプトに設計した。

既存の天井・壁・床・設備をそのまま活用するという設計内容としてはミニマムなプロジェクト。
地下の薄暗い店内に、最小限の演出で北海道の大自然を感じられる温かな空間を生み出す方法を考えた。
改修前の状態は今回のコンセプトとは程遠く、剥き出しの天井が無機質で冷たい印象を与えていた。
そこで、暖炉やロウソク、フロアライトを中心に光の重心を下げることで、暗い空間の中に各席が柔らかく照らし出されるような照明計画とした。
各席を隔てる壁がなくても、明暗が空間を分け、各々の居場所を作り出す。
営業上必要なカラオケモニターは暖炉上部のマジックミラーの中隠し、自然的なイメージを壊さないよう徹底している。

設計をする上で、「女性をより艶やかに演出するバー」という裏のコンセプトがあった。
デートシーンに華を添える、裏方的な役割を果たす空間を目指し、カウンターには栃の木の一枚板を採用した。
シルクのようにゆらゆらとした板目がお酒を持つ手を美しく見せ、カウンターに反射した光が表情を優しく照らす。

包み込むような温かさがありながらも、日常から切り離された刺激的な時間を楽しんでもらえると嬉しい。

設計:Vacilando

施工:永劫建設株式会社

家具:Vacilando

撮影:STUDIO FENCE